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ユニクロ、アジア重視でH&Mとザラに対抗 - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

ユニクロのライバル企業は最近、店舗閉鎖の計画を発表している

Photo: florence lo/Reuters

 【東京】カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するアジア小売り最大手ファーストリテイリング(ファストリ)は、中国事業の強化や実店舗数の継続的な拡大などにより、欧米のライバル企業よりも新型コロナウイルス禍からうまく脱却し、有利に立てるとみている。

 ユニクロが販売するカジュアルで手頃な価格の洋服は、コロナ禍を受けて、在宅で働く人など消費者に一段と好まれるようになっている。柳井正会長兼社長(71)は、同社がアジア新興国の成長著しい都市に拠点を持つことから、成長の余地はまだたっぷりあるとみている。

 「ようやく西欧の時代からアジアの時代に本格的に移る転機になるかもしれない」。ユニクロのマスクを着け、大きな会議テーブルの前に座った柳井氏はこう述べた。「われわれの望みは、アジアで最初の、世界一のアパレルブランドになること」だと言う。

 「ZARA(ザラ)」などのブランドを展開するスペインのインディテックスやスウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)などの競合他社は最近、店舗閉鎖の計画を発表している。ただし、両社の店舗数は依然、ユニクロよりも多い。インディテックスは最大で全店舗の12%に当たる1200店を削減する。一方、H&Mは10月1日、全店舗の5%に相当する250店を閉鎖するとともにデジタル投資を強化すると明らかにした。

 ファストリは電子商取引で存在感を確立しているとは言い難い。2019年8月時点の売上高全体に占めるオンライン売上高の割合は11.6%にとどまる。これは同社のリスクの1つであり、コロナ禍で急速に消費者の習慣が変化している現状では特にそうだといえる。

 調査会社ユーロモニター・インターナショナルの美容・ファッション研究コンサルタント、ラディカ・シンガル氏は「この危機を踏まえ、ユニクロはデジタルへの移行を一段と加速する必要がある」と指摘する。

 もう1つのリスクは米中対立の激化だ。日本にとって、米国は地政学上の同盟国というだけでなく、第2位の貿易相手国だ。一方、強力な隣国である中国は第1位の貿易相手国で、ファストリは衣料品の半分以上を同国で製造している。

 ファストリと日本は中立を保つ必要があると、柳井氏は指摘する。米中はそれぞれ自国に味方するよう日本に求めるかもしれないが、そういう踏み絵を「私は踏みませんと宣言すべき」だと述べた。

 柳井氏はオンライン売上高の重要性は理解している。同社はその比率を全体の30%に引き上げる計画だ。しかし、同氏は実店舗による補完が不可欠だとみている。顧客がそこでファストリの商品を直接見たり、ネットで注文した商品を引き取ったりできるからだ。

 中国では店舗数を現在の約800店から3倍以上の3000店に増やす計画だという。

 成熟した日本市場では、オンラインとオフライン販売の商品をより効果的に統合できるよう販売網を見直す(例えば、店舗をより人口密度の高い、利便性のいい場所に移転する)一方で、店舗数は800店前後のまま維持する。

 ユニクロは日本の好景気まっただ中の1984年に初店舗を開設。1990年のバブル崩壊後の景気停滞期に、シンプルで高品質の衣料品を求める節約志向だが好みのうるさい日本の買い物客をターゲットに真価を発揮した。

 その方程式を海外にも当てはめ、現在では売上高の約半分を海外が占めている。

 ファストリの2019年8月期売上高は2兆2905億円とインディテックスとH&Mに次ぐ規模となり、上位を占めるアジア唯一の衣料品ブランドとなっている。

 インディテックスとH&M同様、ファストリも今年は世界各地のロックダウン(都市封鎖)による店舗閉鎖で売上高と利益が大きく落ち込んだ。同社事業の約90%がアジアにあるが、アジアは欧米よりも速いペースで回復している。インディテックスとH&Mは売上高の4分の3以上を欧米で稼いでいる。

ファーストリテイリングの柳井会長兼社長は「われわれの望みは、アジアで最初の、世界一のアパレルブランドになること」だと話す

Photo: sajjad hussain/Agence France-Presse/Getty Images

 ファストリにとって依然として最大の市場である日本は、4月の売上高が前年同月比で50%以上減ったものの、6月までには増収に転じ、9月は10%増収となった。2番目に大きい市場である中国も、売上高が前年に近い水準に回復する見込みだという。直近の四半期決算は10月15日に発表される。

 ユニクロが新たに展開する洗えるマスクは非常に好評で、現在は主要事業の一部となっている。柳井氏は、ユニクロのマスクを呼吸しやすく、おしゃれなものにしたかったとし、デザイナーは「究極のマスク」作りに取り組んでいると話す。

 ユニクロのラインアップは、よりファッション性の高いザラやH&Mの商品と比較して、家の中でくつろげる着心地のいい洋服が多い。柳井氏は、衣料品に機能性を採り入れたユニクロの手法はザラやH&Mよりもはるかに先進的だと述べ、ライバル企業はトレンドの模倣に注力しているとの見方を示した。

 インディテックスはコメントを差し控えた。H&Mの広報担当者は、同社には「数百人のとても有能なデザイナーがおり、そのような誤った批判を耳にすれば、非常に侮辱を感じるだろう。当社としてもそうだ。明らかな誤解がある」と述べた。

 総じて、低価格で良質というユニクロの評判は、コロナ不況で打撃を受けた消費者にもうってつけだとアナリストらは指摘する。

 UBS証券のアナリスト、守屋のぞみ氏は「お出掛けのためのトレンドを追いかけたファッションよりは、ベーシックでリラックスでき、着心地がいいというところに消費者の嗜好(しこう)が変わってきている」と述べた。

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