仕掛けたのは「UNIQLO TOKYO」。全国緊急事態宣言解除後の6月にオープンし、通りに面した玄関口にユニクロとしては新たな試みの花売り場を設けた。屋内側にはバラやユリなどの定番品が、屋外は暑さに強いヒマワリやケイトウ、ヘリコニアが並ぶ。どこから飛んで来たのか、1匹のミツバチが羽音を響かせていた。
「今はまだ実験段階です」。ユニクロの運営会社・ファーストリテイリングの広報担当、謝宝友さんが控えめに言う。
同店は2020年東京五輪・パラリンピックを前に、国内外から東京を訪れる人々にユニクロの取り組みなどを知ってもらう「グローバル旗艦店」として4月のオープン予定だった。衣料品を軸に日々の暮らしを彩る品々を提案する「ライフウェア」をコンセプトに、その一翼を担う商品として生花は位置付けられた。
ところが、コロナ禍は当初の狙いを狂わせた。一方で、災いは思わぬ結果へとつながった。
本来ならば海外から観光客が多く訪れるはずだった同店は、家で快適に過ごすためのアイテムがよく売れている。売れ筋は部屋着だが、屋内を彩る花々のニーズも掘り起こした。在宅勤務が広がり、家にいる時間が長くなった人々が、それまで日中の管理が難しかった切り花を買い求めている。売れ行きは「予想以上に好調」だ。
コロナ禍は花農家や流通関係者から「花を売る日常」を奪った。感染が深刻化した3月以降、入学・卒業式、入社式などの式典、レストランや展示場など業務用向けに育てられていた花は、相次ぐ自粛や休業の中で行き場を失った。
そうした中で、ユニクロの取り組みは「コロナ禍の新しい日常」にマッチした。衣料品と同様に「気軽に手に取って使ってほしい」という意思を表した価格設定や売り方が、100年に1度とも言われる災いの時代に生きる人々を引き付ける。
失われた日常から新しい日常へ──。連載「農と食のこれから」第2部「新たな日常」は、都市と地方で試行錯誤しながらコロナ禍を乗り越えようとする取り組みを3回にわたって報告する。
コロナ禍の新習慣に

「とてもきれい」。通りがかりに足を止めた女性が花束を手に取った(東京都中央区銀座で=共に釜江紗英写す)
店頭に並ぶ花束から選んだのは、紫のスターチスにピンクのケイトウ、パンパスグラス。以前は花を買う習慣はなかったが、同店が勤務先の近くにオープンし、花売り場が目に止まった。1束390円という「買いやすい価格」に背中を押され、花のある暮らしを始めた。
アパレル関連では世界に名をはせたユニクロだが、花業界ではベンチャー的な存在だ。花売り場の新設に当たり衣料品売り場の社員とは切り離した専従チームを編成し、担当社員が週3日、市場で直接買い付けをしている。傍らから見れば、力の入れようは半端でない。
東京の大手花き卸「大田花き」の磯村信夫社長は、コロナ禍で花の需要が激減した3月以降、自社ホームページのコラムで「業務需要は当面、以前のようには戻らない」と明言し、家庭需要の掘り起こしを訴えた。消費地の動向を敏感に捉え、変化する品種や色目へのニーズを迅速に産地へつなぐ卸の提案力の重要性を説いた。
ユニクロの花販売と軌を一にするが、どこまで広がるかは不透明だ。花は刻々と変化し、衣料品と違って在庫は利かない。水の管理が重要なため、衣料品とは分けられた売り場も必要だ。花を知るスタッフや入荷した生花を並べ置くスペースもいる。花売り場は「UNIQLO TOKYO」と原宿や横浜の計3店舗に設けたが、どの店にも設置できない事情もある。
とはいえ、「花のある新しい日常」の到来に業界の注目は集まる。
盆が開けた17日、東京・大森にある大花園の3代目、堀切実さんが「今年のお盆は忙しかった。帰省しない分、供え花を飾ったり贈ったりする人が増えたようだ。おかげで今日は売る花がない」と苦笑した。戦前は目黒で、戦後は大森に移り、87年の間、花を販売してきた老舗生花店も予測しなかった事態。家庭で花を必要とする人は着実に増えていると、堀切さんは実感していた。(柴田真希都)
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August 27, 2020 at 11:26AM
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[農と食のこれから 新たな日常](上) ユニクロ 銀座で挑戦 洋服店「花」求める人 - 日本農業新聞
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