先週の外国為替市場は新型コロナウイルス用ワクチンの開発への期待感と感染者数増加による経済への悪影響への警戒感が入り混じる悩ましい状況が続く中、主要通貨の中では、円、米ドルが比較的弱い推移となりました。
今週もワクチン開発に関する報道と感染者数、各国の規制の状況等に市場の注目が集まりそうです。
また、先週は週末にかけて、英国とEUの通商協議が難航していることへの警戒感が強まり、ポンドが軟調な推移となりました。今週も協議に関する報道が出てくると、ポンド、ユーロが過敏に反応するかもしれません。
このほか、中東ではイランの核科学者が暗殺されたことを受けて、イランとイスラエルの関係が緊迫化しており、米国も巻き込まれる可能性が考えられるため、最新の報道には注意が必要となりそうです。
経済指標は米国でISM景況指数、雇用統計等の重要経済指標の発表が予定されています。新型コロナウイルスの感染者数拡大に歯止めがかからない状況で、これらのデータが悪化していると、市場の不安が強まる可能性が考えられそうです。
ドル円は上値の重い推移が続く可能性
では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。
オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。
ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。
先週のドル円は序盤こそ底堅い推移となったものの、後半は上値の重い状態が続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が64.9%まで上昇する中、直近の下押しにより、その多くが含み損を抱えている状況です。
このため、反発に転じた場合は安堵の利益確定の売りが増え、上値を圧迫し、また、安値を切り下げる動きとなった場合は、損切り(損失拡大を防ぐための決済取引)の売りが増え、上値の重い状況が続く可能性を見出すことができそうです。
ユーロドルは底堅い推移が続くかに注目
先週のユーロドルは底堅い推移が続き、1.2に迫る動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションの比率が64.7%まで上昇する中、高値圏で推移していることもあり、その多くが含み損を抱えており、下押しした水準では、安堵の買い戻しが増え、また、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
ポンドドルは底堅い推移が続くかに注目
先週のポンドドルは伸び悩む動きが続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションの比率が少し多い中、上昇基調が続いていたことにより、依然として含み損を抱えた売りポジションが多く、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で、直近の伸び悩みで含み損を抱えたポジションも増えており、下押しが続くと、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
【OANDAのオーダーブック】
オープンポジションはここに注目!
相場を動かす要因の一つは損切り注文といっても過言ではありません。
これ以上損失を増やしたくないトレーダーは保有しているポジションの反対売買を行い、損失を確定させ、市場から退出します。
例えば、価格が下落する局面では、買いポジションの保有者が苦しくなり、損切り注文(決済の売り注文)が出やすくなり、下落圧力が強まる要因となります。
損切り注文は価格の向かう方向と同じ方向へ力が加わる注文となるため、損切り注文が多くでる場面では、短期間に相場が大きく動きやすくなります。
オープンポジションを見ると、どの水準に含み損を抱えたポジションが多いかを視覚的にチェックすることができ、次にどちらに動いた方が、価格の動きが大きくなりそうか(損切り注文が多く出そうか)を予想することができます。
オープンオーダーはここに注目!
前述の通り、損切り注文が増えると、一方向への力が強まるため、価格の動きが勢いづくことがあります。
オープンオーダーを見ると、どの水準にどの程度の注文(オーダー)が入っているかを視覚的に素早くチェックすることができます。
損切り注文が多く入っている水準に到達すると、価格が短期的にでも勢いづくことがあるため、注意が必要です。
世界中のトレーダーの相場分析のサマリー?
トレーダーが損切り注文を入れる水準は、通常は、チャートで相場分析を行なった上で、「この水準を超えてしまったら、相場の流れが逆方向に向かう」と考えた水準に入れます。
OANDAのオープンオーダーは、世界中のトレーダーが相場分析を行った結果のサマリーと言っても過言ではありません。
これを見れば、世界中のトレーダーがどの水準に注目し、相場の転換点となると考えたかを簡単にチェックできます。
※逆指値注文:現在の水準よりも不利な水準を指定して行う注文。通常、損切り注文はこの逆指値注文を使います。
本記事に掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
OANDA Japan株式会社
第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号
加入協会等:一般社団法人 金融先物取引業協会 日本証券業協会 日本投資者保護基金
【オーダーブックで読み解く外為市場】はOANDA FXラボ編集部が投資判断の参考として外国為替市場の動向を読み解く連載コラムです。更新は原則毎週火曜日。アーカイブはこちら
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