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コラム:エヌビディア、アーム取得で試される半導体業界の設計 - ロイター

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 エヌビディアはチェスでリスキーな第一手を打った。ジェンスン・ファン氏率いる米画像処理半導体大手は、英半導体設計大手アーム・ホールディングスの全株式をソフトバンクグループと傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドから最大400億ドル相当で取得する。写真はエヌビディアのロゴ。2015年カリフォルニア州サンタクララで2015年2月撮影(2020年 ロイター/Robert Galbraith)

[香港 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - エヌビディアNVDA.Oはチェスでリスキーな第一手を打った。ジェンスン・ファン氏率いる米画像処理半導体大手は、英半導体設計大手アーム・ホールディングスの全株式をソフトバンクグループ(SBG)9984.Tと傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドから最大400億ドル相当で取得する。しかしこの取引にアームの顧客や規制当局が立ちはだかる可能性がある。また巨額な取得額は高い成長と市場シェア拡大を前提としている。

エヌビディアのファン最高経営責任者(CEO)は、半導体業界で最も先見の明がある経営者だ。ビデオゲーム、最近ではデータセンターなど有望な急成長分野の半導体を手掛け、時価総額を2019年以降に3倍以上の3000億ドルに拡大させた。エヌビディアはアーム取得にあたり、株式215億ドル相当と現金120億ドルを提供する。アームの業績が一定の財務指標を達成すればさらに50億ドル支払う。SBGとビジョンファンドは取引完了後にエヌビディアを約8%も保有する見込みだ。アームの従業員は15億ドル相当のエヌビディア株式報酬を得られるという。

アームの設計技術と、エヌビディアのAI(人工知能)、高度処理技術が組み合わされば、成長市場で強力なプレーヤーとなる。たとえばデータセンター関連市場は2023年までに800億ドルに達するとエヌビディアは予測する。知的財産のライセンシングというアームの事業モデルも、さらなる研究開発やエヌビディアの技術を顧客に提供することで恩恵を受けるとみられる。今回のディールでは、アームの価値は少なくとも335億ドルに相当し、アーンアウト条項を含めるとSBGが2016年の買収時に支払った額から若干増える。

ただファン氏は、アーム従業員への株式報酬を含め最低350億ドルの投資のリターンを稼がなくてはならなくなる。エヌビディアは、SBGのアームへの大規模投資が急速な利益拡大の一助になるとみている。それでもアームの前年度は売上高が約18億ドルで営業損益は赤字だった。ブレーキングビューズの試算では、米国の法人税率が21%と仮定して、エヌビディアがたとえば10%のリターンを得るには、アームは44億ドルもの営業利益を計上する必要がある。

成長は、インテルINTC.Oなど、エヌビディアにとっては競合相手であるアームの顧客の獲得、世界各国の独禁当局の認可を得られるかにかかっている。政治家の懐柔はリターンを一段と圧迫するだろう。英議員は雇用が失われることを心配しており、エヌビディアはすでにアームの英事業を拡充すると約束している。今後、ファン氏の半導体業界設計が試されることになる。

●背景となるニュース

*ソフトバンクG、最大4.2兆円でアーム全株式売却 エヌビディアに

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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