【ワシントン=河浪武史、上海=張勇祥】トランプ米政権は13日、中国の「為替操作国」への指定を解除した。中国が「通貨切り下げを自制する」と約束したといい、人民元の対ドル相場は1ドル=6.8元程度と米中双方が折り合える「適温」の水準に落ち着いた。貿易戦争とともに通貨摩擦も「休戦」に入ったが、米財務省は「中国は国有銀行など多様な操作手段を持つ」と警戒を緩めていない。
米中両国は15日にホワイトハウスで貿易交渉の「第1段階の合意」に正式署名する。合意文書には中国が人民元政策を透明にし、競争的な通貨切り下げを控えると盛り込む方針だ。

トランプ米政権は2019年8月、中国を25年ぶりに為替操作国に指定した。さらなる経済制裁の道を開き、米中の貿易戦争は通貨にまで戦線が拡大しかけていた。
米中の貿易摩擦は、トランプ政権が制裁措置を表明した18年3月から本格化した。元の対ドル相場は18年春に1ドル=6.2元台の直近高値をつけていた。
対立の激化に歩調を合わせるように元は下落、19年8月には同7元台と対ドルで11年ぶりの安値水準になった。この間の下落率は約1割に達した。一方、19年夏までに全面適用した制裁関税の第1~3弾で、米国は中国からの輸入額(当時)の約半分に25%の追加関税をかけた。元安は制裁関税を相殺する効果があったともいえ、市場では「中国当局が元安を容認した」との観測が広がっていた。
ただ米国の「為替操作国」解除も影響し、足元の人民元相場は6.8元台と小幅な元高・ドル安が進む。米国の元安懸念が和らぐとともに、中国もこの程度であれば輸出に与えるダメージは限られる。米中双方の「適温相場」に落ち着いたことが為替操作国の解除の一因になったともいえる。
ムニューシン米財務長官は13日の声明で「中国は競争的な通貨切り下げを控えると約束した」と明記した。中国は為替介入の実績を公表していないが、米財務省は13日公表の為替報告書で「中国が外国為替に関連した情報を開示することでも同意した」と表明した。
米中両国はわずか5カ月で通貨摩擦の回避で合意に至った。その背景には米国だけでなく中国も一段の元安を望んでいないという事情がある。
中国は国内銀行の不良債権問題が再燃しつつある。景気下支えには外資などの投資マネーが必要だが、元安は資本流出を加速しかねない。国際金融協会(IIF)は中国からの19年1~6月の資本流出額が1370億ドル(約15兆円)と分析する。
「チャイナ・ショック」があった15年並みの水準に悪化しつつあり、元安が止まらなければ中国企業の債務リスクが強まりかねない。実際、元が下落基調を強めていた19年秋には通貨当局が銀行に為替相場やマクロ経済の動向を頻繁に尋ねていた。
中国からすると「第1段階の合意」で米国が強化する一方だった制裁関税を部分的にでも引き下げることは、元安を容認してきた為替政策を転換する契機となる。
もっとも、米政権は中国の人民元政策に警戒を解いていない。為替報告書では「中国当局は元を操作する豊富な手段を持っている」と指摘した。中国人民銀行(中央銀行)による基準値の設定だけでなく(1)直接的な為替介入(2)オフショア市場での人民元建て債の金利設定(3)国有銀行によるスワップ取引――を挙げた。
中国は人民銀や国有銀行を総動員して為替を「武器」にできるが、逆に米国は中央銀行が政権から独立しており通貨摩擦での「手足」は乏しい。通貨政策は、米国優位で進む貿易戦争の形勢を逆転させる潜在力を持つ。
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January 14, 2020 at 09:00PM
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